4月25日(金)の第6回MEMS Engineer Forum(MEF)2014開催まで、残すところわずかとなりました。今年も例年通り、MEMSに深く関わって活躍している講師陣を国内外から招聘し、内容豊富なプログラムが準備されています。今回の最大の特徴は、前日の4月24日(木)に開催される、米国のMEMS関連業界団体であるMEMS Industry Group
(MIG)主催のMIG Conference Japanと連携して開催されることです。この二つの会議は、参加者の便宜を考慮して、東京・両国の同じ会場で連続して開催されます。MEMSの開発から事業化、さらに産業化に至る道筋を支援しようという共通の目的を持って活動する二つの会議に2日間参加することによって、現在のMEMSの世界的な展開を知ることができます。4月24日(木)夕刻に開催される合同レセプションでは、講演者、参加者、展示会出展社の皆さんと交流することができます。
例年通り、MEMS Engineer Forum主催の併設展示会が2日間にわたって開催されますが、ここでも活発な交流が見られることと思います。なお、4月23日(水)から3日間、横浜ではマイクロマシンセンター(MMC)主催のナノ・マイクロビジネス展も開催されます。
●MEMS Engineer Forumプログラムプレビュー
MEMS Engineer Forum(MEF)は、2009年の第1回開催から、MEMSに関心を持つ国内外の研究者、開発者、技術者が一堂に集うフォーラムとして、第一線の講師陣を招聘して活発な議論を展開して来ました。第6回となる今年のプログラムは、実行委員長を務める東北大学桑野教授によるオープニングに続き、基調講演では、先ずSPPテクノロジーズの神永が、世界的なMEMS の融合について全般的な考察を試みます。フラウンホーファーENASのThomas Gessner教授の、欧州を中心とした最新の活動についての基調講演は、欧州の力強さを示すものになるでしょう。続く午前の講演演目は、前日開催の会議を主催するMEMS Industry Group
(MIG)の Executive DirectorであるKaren Lightman女史の講演に続き、昨年米国でスタートしたTrillion Sensorsプログラムについて、その推進者であるJanusz Bryzek氏とカリフォルニア大学サン・ディエゴ校のAlbert Pisano教授がそれぞれ講演、さらに、Yole DeveloppementのJean-Christophe Eloy氏がMEMS産業の現状について講演します。
午後の講演は、有力MEMSデバイスメーカー各社とともに、ファンドリサービス数社の講演の後、東北大学江刺教授の講演で締めくくります。最後のパネル・ディスカッションでは、昨年同様、会場の参加者も交えた活発な議論が期待されます。昨年のMEMS Engineer Forum 2013の参加者からは、全ての講演・議論を通じ、「これほど興奮したのは久しぶりだ」、「初めてだ」、と言った感想が多く寄せられました。今年も、昨年同様の熱気が感じられることと思います。
●MEMS Industry Group Conference
前日の4月24日(木)に同会場で開催されるMEMS Industry Group Conferenceでは、Global MEMS Supply Chainをテーマとして、講演と議論が展開されます。米国で毎年MEMS Executive Congressを開催し、2年前から欧州に展開したMEMS Industry Group(MIG)が、満を持して日本で初めて開催する会議です。詳しくはMIGのサイトで見ることができます。
●MEMSの来たるべき社会への貢献
日本は、世界の先頭を切って高齢社会を迎えようとしており、生活の質の維持・向上が喫緊の課題と言えます。老朽化した橋梁・道路のようなインフラストラクチャへの対応も急務です。省エネや代替エネルギー、環境保全、そして、安全・安心な生活を目指すために、多くの課題があります。これらの課題を解決するとともに、新しい産業を創出する上で、MEMSが増々重要な役割を担うことは間違いありません。政府方針として現在進められている成長戦略においても、MEMSに関わる研究開発の成果を、事業化、産業化へ展開することにより、来たるべき社会へ向けて、MEMSが大きく貢献することが期待されます。
今回の講演に含まれている「Trillion Sensors」は、米国で昨年スタートしたプロジェクトですが、世界中の専門家の知恵を結集して、10年後の2023年までに年間1兆個のセンサを使用する社会を作ろうというものです。世界中の誰もが飢えることなく、エネルギーや清潔な飲料水、食糧、ヘルスケアの恩恵に浴する社会を実現するためのセンサの開発と実用化を加速するためのロードマップ作成がスタートしたところですが、ここでも、MEMSが重要な役割を果たすことになります。
●MEMSの展開を支える融合
MEMSは、電気、電子、機械、光、材料、バイオ等々、あらゆる分野の技術の融合によってその機能を拡大しています。技術の融合にとどまらず、産学官連携という融合、異業種の融合、大企業とベンチャーの融合、さらには、国境を越えた融合と、あらゆる形態の融合によって、MEMSを発展させることができます。そこでは、日本において育まれた研究開発や用途開発が威力を発揮します。
日本の研究開発によって生まれた技術シーズの事業化を、国内に限らず海外からも研究者、技術者、事業家、投資家を呼び寄せることによって加速し、日本における新産業創生に結び付けようではありませんか。そのためにも、MEMS Engineer Forum 2014において、大いに議論し、実行計画策定へ進むことを期待しています。皆さんの多くのご参加をお待ちします。